村田製作所の事前主義

村田製作所が次世代通信規格『5G』で存在感を強めている、と2020年4月21日火曜日の日本経済新聞が報道しています。世界シェア4割を占める積層セラミックコンデンサー(MLCC)や通信部品が関連製品に不可欠だからです。強さの秘密は、原材料や生産設備まで内製する『事前主義』と、未来に必要な技術の『先読み力』にあります。アジア勢の追随を許さず、新型コロナウィルスの収束後も見据えて強みを磨き続けています。
「これ以上小さくすると、基板への搭載技術が追いつかない」(村田恒夫会長兼社長)
村田は年内に、トップがこう自負する部品の量産を始めます。スマートフォンなどあらゆる電子機器に数百~1千個単位で搭載されるMLCCの新型です。MLCCは、バッテリーと半導体の間などに置かれ、電気を蓄えたり、放出したりして回路内の電流を一定に保ちます。世界の年間需要は2兆個超と見られ、村田はスマホ向けなどの市場が2024年度に2019年度の1.5倍程度になると予測しています。村田の新型は、

    0.25ミリメートル×0.125ミリメートル

と砂粒のように小さいのです。他社の同じサイズのMLCCと比べて、電気を蓄える要領がはるかに大きく、一般的な製品の10倍に達しています。この性能で量産できるのは村田だけなのです。5Gで通信端末は高機能化が進みます。端末内部の空間を有効に使うには、部品の小型化が必須です。
「村田がなければ、高機能スマホは生産できない。」(国内証券アナリスト)
他社ができない製品をなぜ村田は作れるのでしょうか?理由の一つは、徹底した事前主義にあります。村田は、MLCC以外にも、通信部品である表面波フィルターなど、様々な電子部品がシェアトップとなっています。そのほとんどで企画・設計は勿論、原材料や主な製造装置の生産まで手掛けています。もう一つの武器は、必要な技術を先読みする力です。米アップルなど大口顧客との信頼関係をテコに、日々の営業活動から情報を得て、精緻な技術予測を立てています。楽天証券経済研究所の今中能夫氏は、
「村田製は3年先の電子機器の中身を把握し、マーケティングが卓越してる。」
と評価しています。5Gでは、高い周波数帯の電波『ミリ波』の利用が拡大します。効率よく使うには高度な技術が求められますが、村田は研究を1990年代からスタートさせていました。ミリ波で安定して信号を伝えられる高機能基板『メトロさーく』は、売上高が1000億円を超え、今後も採用が増えると見られています。足元では、半導体メーカーなどが新たなライバルとして台頭しています。中国勢などもそうですが、スマホ製造に参入する企業が増え、半導体や通信部品などを組み合わせたモジュールの需要が高まっているからです。
「モデムからアンテナまでトータルソリューションを提供する。」
2019年9月には、米半導体大手クアコムのクリスチャーノ・アモン社長はTDKとその合弁会社を完全小会社化し、モジュール開発への本格参戦を宣言しました。

以上

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