世界知的所有権機関(WIPO)
『知財の番人』と呼ばれる国連の専門機関・世界知的所有権機関(WIPO)の次期事務局長に、シンガポール特許庁長官のダレン・タン氏が選出された、と2020年4月2日木曜日の日本経済新聞が報じています。日米欧が推すタン氏が中国人候補を破ったことを、欧米メディアは『トランプ政権の勝利』などと報じました。これに対し、シンガポールの著名な元外交官トミー・コー氏は現地紙への寄稿で、
「こうした認識は、大国コンプレックスの現れで誤りだ。」
と強く反論しました。タン氏の勝利に西側先進国の後押しが大きく寄与したことは間違いありません。一方で、今回はアジアからの初の選出であり、シンガポールやアジア全体の知財分野での台頭を象徴的に示す事例でもあります。WIPOによると、20世紀までは日米独など西側先進国が特許取得などで9割のシェアを持っていました。その構図を突き崩したのはアジアです。アジアの特許分野のシェアは、直近で48%に高まり、学術論文でも36%になりました。寄与度が大きいのは、中国や韓国ですが、東南アジア諸国連合(ASEAN)で見ても、2013年から2018年までの5年間に特許の出願数は、2割以上増えています。中でもシンガポールは特許の審査体制などで頭一つ抜けており、ASEAN知財分野での協力推進を主導してきました。タン氏は、そんなシンガポールの顔と言える存在です。タン氏が国際的な評価を高めたのは、米国が脱退する前の12ヶ国による環太平洋経済連携協定(TPP)交渉でした。製薬企業などの権利保護を強く主張する米国とそれ以外の国が最後まで対立した知財は、全30章の中でも最難関の分野でした。ここで議長役を任されたタン氏は、各国の利害を粘り強く調整して合意に導きました。
タン氏の仕事ぶりを間近で見ていた日本政府の交渉担当者は、
「各国の落としどころを探るバランス感覚が優れており、特に米通商代表部(USTR)から相当の信頼を得ていた。」
と話しています。その後、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の知財分野の交渉に関わったほか、今はWIPOの著作権に関する常設委員会の議長にも就いています。実績を見れば、西側先進国の代理人として祭り上げられたわけではないことが分かります。東南アジアなどに進出した海外企業で、模倣品や海賊版の対応に苦慮してきた企業もこれまで少なくなかったのです。大半の日本企業にとっても、成長市場であるアジアの重要性は今後、ますます高まります。アジアの状況に精通するタン氏の事務局長就任は、各国の知財政策を一段と前進させるきっかけになり得ます。
https://youtu.be/oPwaQpuDzos
以上
「こうした認識は、大国コンプレックスの現れで誤りだ。」
と強く反論しました。タン氏の勝利に西側先進国の後押しが大きく寄与したことは間違いありません。一方で、今回はアジアからの初の選出であり、シンガポールやアジア全体の知財分野での台頭を象徴的に示す事例でもあります。WIPOによると、20世紀までは日米独など西側先進国が特許取得などで9割のシェアを持っていました。その構図を突き崩したのはアジアです。アジアの特許分野のシェアは、直近で48%に高まり、学術論文でも36%になりました。寄与度が大きいのは、中国や韓国ですが、東南アジア諸国連合(ASEAN)で見ても、2013年から2018年までの5年間に特許の出願数は、2割以上増えています。中でもシンガポールは特許の審査体制などで頭一つ抜けており、ASEAN知財分野での協力推進を主導してきました。タン氏は、そんなシンガポールの顔と言える存在です。タン氏が国際的な評価を高めたのは、米国が脱退する前の12ヶ国による環太平洋経済連携協定(TPP)交渉でした。製薬企業などの権利保護を強く主張する米国とそれ以外の国が最後まで対立した知財は、全30章の中でも最難関の分野でした。ここで議長役を任されたタン氏は、各国の利害を粘り強く調整して合意に導きました。
タン氏の仕事ぶりを間近で見ていた日本政府の交渉担当者は、
「各国の落としどころを探るバランス感覚が優れており、特に米通商代表部(USTR)から相当の信頼を得ていた。」
と話しています。その後、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の知財分野の交渉に関わったほか、今はWIPOの著作権に関する常設委員会の議長にも就いています。実績を見れば、西側先進国の代理人として祭り上げられたわけではないことが分かります。東南アジアなどに進出した海外企業で、模倣品や海賊版の対応に苦慮してきた企業もこれまで少なくなかったのです。大半の日本企業にとっても、成長市場であるアジアの重要性は今後、ますます高まります。アジアの状況に精通するタン氏の事務局長就任は、各国の知財政策を一段と前進させるきっかけになり得ます。
https://youtu.be/oPwaQpuDzos
以上
この記事へのコメント